信州には、行事や仏事に因んだ“ハレの日”におやきを食べるという習慣がありました。また、日常“ケの日”に食べられていたおやきもあり、“ハレ”“ケ”共におやきが食卓には欠かせない食べ物だったのです。
現在もお彼岸やお盆にはおやきを食べるご家庭は多いのですが、歴史を掘り返すとまだまだたくさんの【おやきを食す日】があるのです。
ここで金子万平著「おやき・焼餅の話」からの抜粋をご紹介させていただきます。
ふだん作っているおやきは、更に年中行事の食として、節目をつけている。例えば1月2日には今年もまるくいくように朝おやきをやく“年玉おやき”。
田植えが終ると近所中へおやきを作って配る“農休み”、8月1日のウラ盆には“なすのおやき”、8月7日の朝食は“七夕おやき”、8月14日の朝食は“なすと小豆のおやき”、9月9日、19日、29日はおくんちと言って“なすおやき”。また11月には“くわあげ”“かまあげ”“棒あげ”“ねこたたき”など、それぞれおやきを作って祝った。12月31日は“まるめあげ”といって、今年もまるくおさまったという意味で、おやきをまるめた。(太田春子『おやきの今昔』より)
これ以外にもまだまだおやきを食べてきた日がありますが、代表的な日を年間で7日間ピックアップし、今回の信州おやき協議会制定【おやきを食す日】とさせていただいたのが経緯です。